自分のアンテナ設置で感じたこと


最初に使用したルーフタワー

    過去、1.8m及び3m高のルーフタワーを使用していたことがあります。当時は何も考えずに大きなアンテナを設置してアマチュア無線をしていましたが

   その結末は台風で転倒し、屋根に
大きな穴を開けてアマチュア無線そのものを家族から大反対されてQRTになりました。無念・・・。

   屋根上の設置については、屋根の材質・形状・支線の方法などをよく検討する必要があります。ルーフタワー本体の材質や強度はメーカーが把握している

   と思いますが、家屋や屋根の強度の把握は通常は難しいでしょう。屋根上設置ではルーフタワーの荷重が屋根の一点に集中しないように分散させる工夫

   も必要になると思います。特に瓦の屋根はアンテナ重量、ルーフタワー本体の重量、ローテーター、ケーブル、マスト及びパーツ重量、作業する人の体重、

  支線を引いたときの張力荷重などをよく検討しましょう。上記のような物損事故になりかねません。また、家側の引留め位置と方法の検討も必要です。
 
   当時は私も若かったせいか、無謀なことをばかりやってましたが、いまなら絶対しません!


次に使用したコンクリート柱(15m)

    ルーフタワーで痛い思いをしたので、屋根上に設置する気にはなれず、予算の関係もあって15mコンクリート柱にしました。15mと言っても、全長が15m

   で、規定で最低でも全長の6分の1の根入れをしないといけないため、地上高は12.5mとなります。基礎部には1.2mのコンクリート製ネカセを2本設置

   しました。でも、やっぱり大きなアンテナを設置することに不安はありました。アンテナの受風面積は気になりますね。

   コンクリート柱を使用しての感想ですが、作業性が悪いですね。足場ボルト上での作業となるために作業範囲が狭く苦労したことを覚えています。

   作業高が高いので、作業ステージを作ったにしても柱上での行動範囲に限界があります。それに、同じくらいの高さで二人作業をした場合、特別に足場を

   増設しないと限られた本数の足場ボルトを二人で分け合わないといけないので、かなり作業能率が悪くなります。高所作業車を使用すると安全に作業が

   できますが、設置スペースの問題と、操作するにも資格が必要になり、リース料金も高価です。


クランクアップタワー

    コンクリート柱に限界を感じ、少しがんばってクランクアップタワーを建てました。電柱に比べ平坦な広い作業ステージが設置できるため、多少作業性は

   向上しました。と言っても、エレメントのブームやエレメントの先まで行けるわけではありません。

   便利にはなりましたが、忘れてはいけないことは、完全自立タワーに比べて機械的な構造が複雑な部分が多く強度的に弱いということです。

   それと、自立タワーにはない新たな種の事故の発生の可能性が高いということです。当然のことながら、メンテナンスが大変になります。

   定期的にまたは臨時的に保守点検をおこない、常に最良の状態を保っていなければなりません。私の場合、メンテナンスを行った履歴を残しています。

    このクランクアップタワーは使用する側が気をつけておかなければならないことがたくさんあります。先に記しましたメンテナンスはもちろん、運用中

   (タワーの昇降動作中)はそこにいて監視をすることです。最近では部屋の中から操作ができるものもあるようですが、何らかのトラブルが発生したときに

   即、対応できるかが心配です。それで、私個人的には動作中はタワーのそばにいて確認をする。無線業務をしていないときはタワーを最下部まで降ろして

   おくことなど、いくつか決め事をしています。クランクアップタワーのワイヤーには、最下部まで降ろしていても対策を講じていない限り、常に揚げたときと同じ

   負荷がかかっています。このため、金属疲労にも配慮が必要になるわけです。私が使用している物は、チェーンとワイヤーのドライブで昇降するように

   なっていますが、このチェーン部に使用する油は、いろいろ試しましたがチェーンソーの歯に使用する油が最適です。粘度が高く、浸透には少し時間

   がかかりますが潤滑が持続します。最後にもうひとつ、駆動電圧は100Vがいいですね。停電時、万一、降下しないといけない緊急事態が発生した

   とき、家庭用小型発電機でも動作可能にしておいたほうが安心です。


建設にあたり、注意しておきたいこと

    タワー建設にあたり、クランクアップタワーでは建築確認申請が必要かどうか。賛否両論がある中で、不要と判断して申請を行わなかったところ、後日、県の機関

   である土木事務所から連絡があり、申請が出されていないということで説明に呼び出しを受けました。最初??という感じでしたが、いろいろと 話し合いをして、結局、

   申請をせざる得なくなり、それからが大変でした。こういったケースはたくさんありましたので、「なんでうちだけ?」という疑問が生じました。おそらく、近所の方が

   行政へ問い合わせ等をされたのではないかと推測します。材料の搬入や生コン車の進入など、ご近所にはご迷惑をおかけすることにもなります。ご近所と常々うまく
   
   やっておかなければならないことも痛烈に感じました。工作物の申請に当たっては建築基準法で工作物の種類と高さが決められています。また、避雷設備も

   別の規定によって定められています。工作物の申請には決まった様式の書類を提出する必要があり、手数料がかかります。設計図や強度計算書など、素人の私が

   自分で対応できる内容ではありませんでしたので、建築士の方にお願いをして一件落着となりました。この工作物の申請には検査があります。設計どおりに工事

   をおこない、できるだけ細かく工事写真を撮影しておかなければなりません。特に基礎部の隠蔽部などです。ゲージを当てて、寸法が写真でわかるように撮影

   します。施工前・施工中(工程ごと)・施工後です。他、使用した生コンの種類や強度試験のことも言われました。

    それから、もうひとつ注意が必要なことがあります。それは、その地区での工作物に制限がかかっている地域があることです。例えば、風致地区、国定公園、

   景観条例、遺跡関係などなどです。後のトラブルを避けるために建設をお考えの方は管轄の行政機関へ問い合わせをされるととをおすすめします。

                                                     HOME