アマチュア無線工事に使える工法(2)

GPアンテナ突き出し工法
クリエートデザイン社の自立式タワーにアンテナエレベーターを設置している場合、マストのトップへGPアンテナを取り付けるとタワーとGPアンテナのラジアルの間隔がじゅうぶんでなくなります(左から1枚目と2枚目の写真)。アンテナエレベーターを降下する場合は向きを細かく注意しておかないとラジアルの損傷につながります。また、全長の長いGPでは、上昇時に垂直エレメント部がタワーへもぐりこんでしまい損傷する可能性があります。今回紹介する部品は市販されているBSアンテナの側面用金物を用いる工法です(写真左から3枚目と4枚目)。こうすることによりタワー本体とラジアルの離隔を確保することができるためより安全度が増します。

可倒式マスト
垂直型のアンテナを使用している場合、メンテナンス等で可倒式にしたいと思われている方は多いと思います。
今回ご紹介する工法は既設の鋼管に取り付ける工法の一例です。 ネットで色々な工法が紹介されているのを調べてみました。
足場クランプを使用されている方や、蝶番を使用されている方など様々工夫されていました。 この現場は直径が114mmのパイプに取付するという条件でしたので、このベースとなる鋼管にバンドを取り付けて側面金物を固定する方法を考えました。上部の金物を止めているナットを一つ外し、下部のナットを少しだけ緩めれば簡単に倒れます。この工法ではベースとなる鋼管の太さが変わってもバンドの大きさを変更すれば取付が可能、また、支点が低い位置にとれる利点があります。ベースパイプが細すぎると不可ですが、電柱のような直径が35cmほどあっても50cmほどあってもOKです。また、工具はスパナ1本あればできます。 この側面金物は40A用(直径32mm〜48mm)・50A用(48mm〜60.5mm)が一般市販されています。 上の写真は40A用です。 


PDCE ジュニア
PDCEのご紹介です。 株式会社落雷制御プロダクツという会社が製造販売をしている商品です。色々な種類がありますので気になった方はこの会社のホームページを訪問してはいかがでしょうか。
今回ご紹介する機種は「PDCEジュニア」です。この製品はJIS_A4201規格における受雷部としてお使いくださいと書かれています。ということは、受雷部ですから接地工事が必要ですね。
「PDCEジュニア」の取付は上の写真のような構造になっており、5mm厚のベース部にはM10の穴が90mmピッチで4ヶ所あけてあります。
クリエート・デザイン社のタワーでアンテナエレベーターを設置されていればワイヤーが接触することもなく取付できます。但し、固定のためのボルトナットは付属のM10ではなく、M6へ変更する必要があります。これは、PDCEジュニアの穴と穴の対角距離が90mmとなっているに対し、タワーのローテーターベアリングのための穴と穴の対角距離が85mmのため、ボルトの径を少し小さくしないと加工をしなければならなくなります。

スパイラルハンガー
ケーブル支持材の「スパイラルハンガー」のご紹介です。これはNTTや他の電力・通信工事によく採用されている方法で、どこでもよく見かける工法です。お近くの電柱を見てみてください。
メッセンワーヤー(吊り線)を張って、1本1.5m程の長さのハンガーを接続しながら必要な長さ通してその螺旋状の中にケーブルをのせる(入れる)という方法です。スパイラルハンガーの両端は「終端クランプ」という金物でメッセンワイヤーに締め込み固定します。こうすることでスパイラルハンガーが動かなくなります。 この工法はケーブルの増減が容易にできます。ケーブルを追加する時はハンガーの中へ押し込み通す、撤去するときは引っ張り抜く、また交換するときは既設の線に新しい線を繋いで引っ張る。という単純な作業で作業時間がグンと短縮できます。手の届かないところでも通線できるということにもなります。通常、結束バンドやテープで複数本のケーブルを一緒に固定していると思いますが、こうしているとケーブルを増減するときに全部一か所ずつはずさなければなりませんよね。上の写真は10D-FB×3本・8芯制御ケーブル×3本通しています。

誘導雷サージ対策SPD
音羽電機工業株式会社製避雷器
7月の誘導雷をうけ、倉庫に開設している方の無線局のローテーターのコントローラーが破損したため、コンテナハウスに開設している方の局の分電盤に「誘導雷サージ」対策用のSPDを取り付けました。
これは、SPD本体(写真下の物)とヒューズ及びヒューズソケット(写真上部3つ並んでいる物)からなり、接地線に接続するようになっている。ここは、単相3線にて給電しているため、ヒューズとソケットが3つ必要になります。 また、鉄製のBOXに収納することをメーカーが推奨していますが、これは、誘導雷を受けたときにヒューズが破裂し、飛び散る恐れがあるため鉄製の強固なものを推奨しています。

ローテーター部のマスト滑り止め
 強風の時にマストが滑りアンテナの方向が変
 ってしまうという相談をうけて対策をしました。

 今回の工法はローテーターのマスト固定部で
 の対策で、マストを挟み込む方式のローテー
 ターでしたので、左の写真の工法をとりました。

 ローテーターの挟み込みボルトを左右均等に
 締めこむと、50A(φ60.5)のマストで、おおよそ
 35mmほどの隙間があきます。

 マストに貫通穴をあけ、隙間より1mm程度の
 余裕をもって鉄のプレートを貫通ボルトで両側
 とも固定しました。
強風のためにアンテナ方向が変わってしまうのは、多くはローテータのマスト固定部とマストとアンテナのブームを固定している箇所です。
外部からの力で回るということは、ある意味、力が分散されてローテーターのブレーキやクロスマウントを含むブームの負荷が軽減されているということにもなります。
このため、今回のように固定してしまうとローテーターのブレーキのタイプにもよって異なりますが、強力な力が加わってブレーキピンやギヤが破損してしまうかもしれません。
それから、ブームには貫通穴をあけたりして加工しない方がよいです。  私も、自分のアンテナで何回も経験していますが、ブームに穴をあけて加工するとφ60mmもあるブームが見事に割れてしまいました。

ナットのゆるめ方
みなさんは錆びついたり、塗料を厚く塗ってあるナットをゆるめるときはどうされていますか? 何もせずそのまま力任せに緩めてもなかなかナットが回りませんね。特にステンレス製のボルトナットはすぐに焼けてしまい、こうなるとお手上げ。私たちが必要なくなったナットを撤去する時は、ボルトごとサンダーなどで、縦割りしています。この工法は、ボルトナットは再利用できなくなりますが、80%の確率で、楽に撤去することができます。 小さな径のものは切断したほうが早いかも。

ケーブルガイド
3月に建てたクランクアップタワーのケーブルガイドが見つからず、とりあえず有るもの利用で作成してみました。いいかげんに作成した割には、これがけっこう使えます。配管を固定する時にベースとして使用するダクター(Eハンガー)に切り込みを入れて丸く曲げます。これに支え棒を固定しました。写真のように3面囲まれた中をケーブルが通過するため、外へ脱落することがないんです。下の丸ガイドも、ホームセンターで販売してある丸い和になっている雨水管の支持物を利用し、これにアームを突き出しました。

鳥害対策グッズ ふくろう
お客様から鳥害対策グッズを取り付けてほしいとのご依頼があり、聞いてみると「フクロウ」といわれ、私は「フクロウ」という名前のついたグッヅだろうと思っていました。
訪問して、ブツを渡されると、それはモロ「フクロウ」の模型でした。よくできていて、目も大きく、風で首がクルクルと回転するようになっています。
後日、効果をお聞きしましたが「効果有り!」との回答。
左の写真の堂々たる「フクロウ」の写真をご覧ください。首をかしげて何かを考えているようですね。