地デジ化(地上デジタル放送受信施設)のこと

UHF チャンネル表

チャンネル番号 周波数帯(MHz) 中心周波数(MHz) 映像周波数(MHz) 音声周波数(MHz)
13 470〜476 473 471.25 475.75
14 476〜482 479 477.25 481.75
15 482〜488 485 483.25 487.75
16 488〜494 491 489.25 493.75
17 494〜500 497 495.25 499.75
18 500〜506 503 501.25 505.75
19 506〜512 509 507.25 511.75
20 512〜518 515 513.25 517.75
21 518〜524 521 519.25 523.75
22 524〜530 527 525.25 529.75
23 530〜536 533 531.25 535.75
24 536〜542 539 537.25 541.75
25 542〜548 545 543.25 547.75
26 548〜554 551 549.25 553.75
27 554〜560 557 555.25 559.75
28 560〜566 563 561.25 565.75
29 566〜572 569 567.25 571.75
30 572〜578 575 573.25 577.25
31 578〜584 581 579.25 583.75
32 584〜590 587 585.25 589.75
33 590〜596 593 591.25 595.75
34 596〜602 599 597.25 601.75
35 602〜608 605 603.25 607.75
36 608〜614 611 609.25 613.75
37 614〜620 617 615.25 619.75
38 620〜626 623 621.25 625.75
39 626〜632 629 627.25 631.75
40 632〜638 635 633.25 637.75
41 638〜644 641 639.25 643.75
42 644〜650 647 645.25 649.75
43 650〜656 653 651.25 655.75
44 656〜662 659 657.25 661.75
45 662〜668 665 663.25 667.75
46 668〜674 671 669.25 673.75
47 674〜680 677 675.25 679.75
48 680〜686 683 681.25 685.75
49 686〜692 689 687.25 691.75
50 692〜698 695 693.25 697.75
51 698〜704 701 699.25 703.75
52 704〜710 707 705.25 709.75
53 710〜716 713 711.25 715.75
54 716〜722 719 717.25 721.75
55 722〜728 725 723.25 727.25
56 728〜734 731 729.25 733.75
57 734〜740 737 735.25 739.75
58 740〜746 743 741.25 745.75
59 746〜752 749 747.25 751.75
60 752〜758 755 753.25 757.75
61 758〜764 761 759.25 763.75
62 764〜770 767 765.25 769.75

一部地域を除いて地デジへ移行から2年が経過。 2013年7月号のCQ誌に地上デジタル放送の記事が掲載されていたので、興味深く拝読した。
地デジ移行へのメリットについての記載にもあるように、電波の資源を有効に使いこなすことは、私も素晴らしいことだと思う。
遠い将来は、受信する側との双方向通信も可能になるのでは・・・。
しかし、テレビ機器メーカーをはじめとする業界は大変だったようです。 カタログを見ても、VHFアンテナは削除され、また、一般家庭用機器もVHF帯のものは無く、せいぜいVHF・FM帯域の混合器機能を有するブースターだけになったようです。 業務用の増幅器等などの機器はVHF帯の機能を有するものがありますが、高価にもなり使用目的も違い家庭用には使えません。
メリットが多い反面、経済的影響は大きく、テレビ機器メーカーも人員の削減、規模の縮小、他の業界への参入など、生き残りを掛けて四苦八苦している状況がうかがえます。確かに、経済的な規模の縮小は身をもって感じています。

なんとかして地デジ受信が可能なところは地デジアンテナで受信をしていますが、それでも受信できない地域(同一チャンネルによる他局の混信
障害を含む)はセイフティネットと称して衛星からの電波を受信して対策を行っていますが、衛星放送はローカル番組が視聴できないのが難点に
なっています。  同一チャンネルの他の送信局からの混信障害は、アナログであってもビート障害となって現れ対策に苦労していました。
音声ではまったく問題にならなくても、映像となると難しくなります。
先日、新聞で報道されていましたが、ビルなどの建造物から近隣へテレビ同軸ケーブルでテレビ電波を供給している施設の対策が現実には
まだまだ終わっておらず、今後は、こうった施設の対策に力を入れるとのことでありましたが、数十年間もかけて構築してきたものを、あと数ヶ月
で改修を完了するのは難しいような気がします。

地上デジタル放送受信困難な地域への対策

受信帯域とアンテナのこと

アマチュア無線家の方なら誰しもがご存知のとおり、その周波数に適合したアンテナを使用しなければならないことは常識ですが、テレビジョン
放送のように、広い帯域を一本のアンテナでカバーできるようにできているものもあります。 考えてみるとUHF帯域ではch13〜ch62まであり、
周波数になおせば、現在の使用では430MHz〜770MHzの幅があります。この340MHzもの帯域を一本のアンテナでカバーするということは、
単チャンネル用のアンテナに比べて性能が良くないことがわかります。

現に、地デジ 受信においてもこんなことがありました。 違う位置(2地点)から同一の周波数で電波が発射されている場所も少なくはなく、
地域によっては、混信障害となり、特定のチャンネルだけが映りません。 このような地域を混信対策工事として作業をしているのですが、
オールバンドの高性能型を使用しても改善できなかったものが、普通型の目的周波数の帯域近くに製作されたアンテナを使用して改善ができた
ということです。 目的の周波数は低いチャンネルだったため、UHFオールバンドアンテナをLOWチェンネル用のアンテナに変更したわけです。
やはり、アンテナはいつでも目的の周波数に好条件に設計されたものがよいということですね。
この作業では、オールバンドのアンテナとLOWチャンネルのアンテナとを測定器で実測比較したところ、受信レベルが4〜8dB改善されていました。

話は変わりますが、まだ、地デジ 受信ができているか疑問に思う施設がたくさんありますが、2011年7月でアナログ放送を本当に終了できるの
だろうか・・・。

サイマル放送

上記のとおり、テレビ電波には一般的に、遮蔽による受信障害と反射による受信障害が多いですが、他にも反射障害の種類の中に、フラッター
障害というものもあります。これは、空港の近くなどで、飛行機が低空で飛行する場所によくみられ、機体による反射や遮蔽が短い時間発生
するもので、テレビ画面一時的に揺れたり、不安定になったりします。 対策には、フラッター対策用のアンテナを使用したり、有線対策を講じます。

ビルなどの大型建造物では、上記のように受信する方法で対策をする場合が多いですが、中には、ビルにフェライトと呼ばれる電波吸収材を
貼り付けているところもあります。フェライトは電波を吸収して熱に変える物質とされています。電波状況が悪い地域では、遮蔽障害より反射障害
の方が厄介に思います。

遮蔽障害や反射障害のほかに、私達の身近なものに、送電線や鉄道による電気的ノイズもあります。
たとえば、新幹線など高架橋を通り、その動力を電気に頼っているものはパンタグラフと架線の接触により発生するノイズがあります。
このような場所は、高架による遮蔽とパルスノイズの2つの障害を受けることになります。 昔は、高架の下に受信点を設置してそこから有線
対策をしていましたが、近年では周囲の建物が高くなってきたため、良好な電波が届かなくなっており、受信アンテナを高い場所へ移設したり、
商用ケーブルテレビへの加入を推進したりしています。 また、現在は地上デジタル放送が行われているため、地デジ 受信による個別のアンテナ
対策がよく用いられます。

同一チャンエルの電波干渉もあります。九州北部でよくある受信障害の中に韓国のテレビジョン放送との混信があります。 実際に日本の番組
を視聴中にハングル文字が映ったりします。 スポラティックE層等が発生するような状況のときが特にひどいです。 同一チャンネルですので
有効な対策はありません。いろいろと実験しましたが、指向性の鋭いアンテナへ交換しても大きな改善は認められませんでした。 が、一度だけ
うまくいったことがありました。 それは、韓国の電波到来方向に遮蔽物がある場所へ受信アンテナ郡を移しました。 遮蔽障害と呼ばれるもの
を利用したことになります。その位置は、たまたま、受信局と韓国の局が180°相対する方向になったためうまくいきました。当時の記憶では、
目的波と不要波の差を40dB以上確保にできた記憶があります。 

アマチュア無線をされている方は電波の性質をご承知とは思いますが、
建造物が建つと、電波の遮蔽(しゃへい)部分ができます。
1図のようにビルが建ったことによる遮蔽障害地域が発生します。
(図では青の点線の部分)この範囲ではテレビ画像が乱れます。
この場合、他の送信局を代替として受信することができないときは、
これを改善対策するために、テレビ電波が良好に到達している場所へ
アンテナを設置して、遮蔽障害となった範囲の世帯に同軸ケーブルで
テレビ信号を供給する方式をとっている場合があります。
一般には、ビル影有線対策とか共同受信とかいう呼び方をしています。

このような、同軸ケーブルによる対策をしている世帯をどうするか
ということが問題となっています。アナログ放送では、受信障害範囲
をアンテナを建てて対策をすることが困難なケースが多いのですが、
デジタル放送では、ある一定の電解強度が確保でき、デジタルエラー率に
問題がなければ個別アンテナによる受信が可能となります。 
このため、ケーブル対策をしている世帯が地デジ 受信が可能となれば、
対策施設に頼らずに個別で受信して、対策施設そのものを撤去すること
ができます。

地デジ電波が受信可能か否かの調査をデジサポという団体で相談をうけて
くれています。
実際、私達もこういった調査や工事を行っていますが、地デジ 受信が
可能な場所がけっこうあります。 

先日の国会の質疑の中でも、受信する側の地デジ化の進捗の遅れが指摘されていましたが、確かに進んでいないように思えます。しかしながら、中には、受信施設
をわざわざ改修しなくても地上デジタル放送が受信可能な環境にある施設があるのも事実です。

2011年7月24日にアナログ放送は終了となっていますが、直前になり業者への改修依頼が殺到して対応の遅れを心配する声もあります。 聞くところによれば、
事実はわかりませんが、全国の受信世帯の3%ほどは、デジタル放送の電波が受信できない地域があるとのことです。 このような地域はケーブルテレビなどが
敷設してあるとは思いますが・・・。

VHF チャンネル表

チャンネル番号 周波数帯(MHz) 中心周波数(MHz) 映像周波数(MHz) 音声周波数(MHz)
1 90〜96 93 91.25 95.75
2 96〜102 99 97.25 101.75
3 102〜108 105 103.25 107.75
4 170〜176 173 171.25 175.75
5 176〜182 179 177.25 181.75
6 182〜188 185 183.25 187.75
7 188〜194 191 189.25 193.75
8 192〜198 195 193.25 197.75
9 198〜204 201 199.25 203.75
10 204〜210 207 205.25 209.75
11 210〜216 213 211.25 215.75
12 216〜222 219 217.25 221.75

遮蔽障害の他にも反射による受信障害もあります。
これは、山や建物など電波を反射する性質のものがあると2図のように
反射障害がおこります。 
これは、送信アンテナから発射された電波が、直接届く電波と反射に
より到達した電波の時間差によって障害となるものです。
一般には右側に映像の影(ゴースト)が単体や多重で確認されます。
アナログではこのような対策として、他の代替局の受信や、ゴースト
対策用アンテナ(FB比の優れたアンテナ)を使用して対策を行って
いましたが、代替局がない場合、高性能アンテナで完璧に改善されたところ
は少なかったです。 これをアンテナ対策などと呼んでいました。
改善が困難な場合は、やはり同軸ケーブル敷設による対策を行いました。

ところが、デジタル放送では反射波でも、一定の電界強度を安定的に
受信でき、かつ、デジタルエラー率も少なければ、実用となりうるのです。
現実に、ビルの谷間の個別世帯にアンテナを建てて受信しているケース
があります。 

よく用いられる受信対策工法

2図 アナログ反射対策(反射障害)

1図 アナログビル影対策(遮蔽障害)

移行から3年強

聞きなれない言葉ですが、サイマル放送とはデジタルテレビジョン放送とアナロクテレビジョン放送を同時におこなうことです。
現実的にテレビジョン放送に使用する周波数の割り当てがチャンネル的に厳しい状態にあるため、ch13〜ch52を使用するとされているデジタル
テレビジョンの放送チャンネルをch53〜ch62まで使用しています。
このため、アナログテレビジョンの放送終了後にデジタルテレビジョンの放送チャンネルを、すべてch13〜ch52へ移行しなければなりません。
総務省の発表によれば、チャンネルの切り替えが必要な送信局や世帯数を概略試算しているようです。報道によれば、80地域・60万世帯
になるそうです。
この周波数の変更(再編成)が行われれば、該当地域の受信チャンネルや共同受信施設など受信者になんらかの影響があると思われます。
多くはチャンネルの調整ということになると思いますが、共同受信施設やCATV施設は設備の改修が必要になる場合もあり、しかも短期間に実施
しないといけないため、たいへんな作業になると思われます。